小説『サイパンから来た列車』


サイパンから来た列車
サイパンから来た列車
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棟田 博
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以前見た渥美清主演の映画『拝啓天皇陛下様』。これの原作者である棟田博の短編集。

『拝啓天皇陛下様』は、幼い頃に両親を亡くして食うや食わずだった主人公(渥美清)が、厳しくても、三度のご飯を不自由なくいただける軍隊生活をそれなりに楽しく過ごしていて、戦争が終わりそうになったら「それは困る!」と天皇陛下に手紙を出そうとするおはなし。終戦後も、人情深いストーリー展開。だったような気がする、あんま覚えてないけど。

戦争をテーマにしたものは本でも映画でも、メッセージ性というか、イデオロギーというか、なんだか作品自体が重い任務を背負いすぎていて、戦争体験のないわたしとしては、受け止めきれず消化不良を起こすことになる。

けどこの映画は、皮膚感覚を伴う日常の描写、日常の連続からなる人生の描写に終始していて、印象深かった。部隊が軍隊であっても主人公にとってはそれが日常であること、その空気感。渥美清演じる主人公の人生観、人間的魅力。

役所があんまりハマってたので、渥美清の存在感にしか目が行かなかったけど、原作の視点もおもしろかったんだなと、『サイパンから来た列車』を読んで分かった。

どんな大きな問題も、根底にあるのは人間一人一人の、皮膚感覚。日常。だけど、問題の大枠を説明しようとすると、それは往々にして見過ごされ、ただ漠然と大きな問題でしかなくなり、根幹を見失って巨体だけが上滑りしていってしまう。

こういう、大事な部分を大事に描けているものには、力があります。

編集業務をまるごと1冊自分でやった、初めての本でした。
なので、発売記念エントリー。

『サイパンから来た列車』は、倉本聰のドラマ『歸國』の原作ですが、一緒に入ってる『ポッポ班長万歳』というのが、ユーモラスでおもしろいです。軍隊の訓練生活のおはなしです。

渋谷


今日、仕事でちょっと渋谷を歩いた。
ものすごく人が多くて宣伝の音や車の音がうるさくて、窮屈なのに、解放感に浸れる。あの都心特有の雰囲気は、嫌いのつもりだけど、好きなのかもしれない。酔う。

ここなら体売ってもいっかって気分になるよな。

って何度も反芻した。

都会の解放感のせいでいい加減な人間になってしまう、ということではない。セックスとかそれにまつわるサービスを提供してお金を得るという仕事が、あそこでは受け容れられてるように感じる。

土地には血があると思う。いや、ないだろうけど、そう感じるくらい、土地って長いこと脈々となにかを受け継ぐ。少なくとも、人間の寿命よりはずっと長く、なにかを受け継ぐ。

そういう「なにか」の中に、上記職業意識も含まれていて、渋谷とか新宿とかって、そういうことを許容している気がする。

10年くらい前、わたしは新宿が嫌いだった(今でも嫌い)んだけど、ある人が新宿を好きだと言っていて「なんで?」って聞いたら「なんでもありだから」って言ってて、その時は分からなかった。だってきれいさとか安心感とか静けさとかいう、わたしの好きな要素はないから。でも、「なんでもあり」ってそういうことじゃなくて、人の逸脱を許すキャパみたいなことだったんだろうな。分からないけど、多分。

「思い切ってはみ出したところでほんとに面白いもの見つけられて、そこから戻ってやっと当たり前も面白く思える。両方ないとバランス狂う。」

これは、渋谷でツイートしようとして電波不良でツイートされなかったつぶやき。

雑誌原稿の書き方(引用)


しばらく書き仕事をしていなくて、取材の仕方も文章の書き方も忘れてしまってるんじゃないかと思う。

そこで、ココカラハジマル「雑誌原稿書き方_全111条」、自分がとくに心得ておきたい条文を抜粋引用します。

忘れたころにまた読みなさい、わたし。(それ以前に、書きなさい、わたし。)

004 キーワードをつくろう。
011 体言止めはなるべく使わない。 (キャプションでは頻出可)
018 「物は言いよう」の精神を忘れずに。
049 「とても」「非常に」「かなり」など強調の副詞も連続して使わないこと。 「とても多い」「多い」──後者の方が強い言い切り。-後略-
067 裏をとれ。
069 わかりやすい話をする人は気を付けよう。話し方がうまいだけかもしれない。
074 「”直すな”オーラ」を発する原稿を心がけよう。編集者も取材された側も、最初は遠慮して赤字(修正)を入れる。しかし直しが増えはじめ、校正紙が赤く染まり出すと、赤という色のせいなのか、次第に暴力的な気持ちになり、最後にはあるブロックを丸ごと書き換えるといった事態にまでなる。ケアレスミス撲滅を心がけ、スキのない原稿を仕上げよう。
080 取材で面白いと思ったことは全部書こう。ライターや編集者の資質は何を面白いと思えるかにかかっている。
081 取材が終わったら同行の編集者とお茶しよう。インタビューのどこが面白かったかを編集者から聞き出すのは、ライターにとって第二の取材。-後略-
083 削って削って、最後にくだらんこと言える余裕を残そう。
087 客観性は脚で稼げ。
088 リサーチを重ねて断定を。裏付けのない断定、論理的でない断定は信頼を低下させる。
089 引用先は明記せよ。
099 「でも」の連発にはご用心。 -中略- 反対意見をぶつけてみるのは、取材の後半、取材相手との距離が縮められたなと思ってからにしよう。
104 取材時はおもむろに相手の資料をテーブルの上に並べよう。
110 取材先にお礼の言葉を添えて送本するまでが雑誌制作。
111 人をつなげるのが編集者。

もう、


もう、危なっかしさはウリにできない。

ってこと。多分。今乗せられてるこの波紋レベルの小波を言葉にするならば。

お。


データベースつくったやつが、実証実験をはじめてるみたいなのでメモ。

方言のはなしをみんなに聞くのはたのしかった。
「相手が方言じゃないと、なかなか出ない」って言ってわざわざ家族に電話してくれたり、その電話口で「○○ってなんか方言あるかなあ」っていう問いかけ文がもうイントネーションとかちがって方言だったり、出てくるのは下品な言葉でデータベースに入れられないものばっかだったり。

方言は、地元の人同士でしゃべる日常語の中で無意識のうちに残っていくもの。意識して残そうとしたら、その瞬間あまり意味がなくなるのかも。

遊廓跡を歩いてたときもそうだったけど、興味持ち始めるときは「なくなっちゃったらもったいない」って気持ちで動く。でもだんだん「消えてったり形を変えてく、この途中経過がおもしろいんだ」と気付いてしまう。採取したり保存したりするのが虚しくなってく。学問したり類型だてたりするのは有意義そうだけど。

Yahoo!ニュース

ネット上のニュース記事ってすぐ消えちゃうんだっけ。