図鑑『アリの世界』


アリの世界 (科学のアルバム)
栗林 慧
あかね書房
売り上げランキング: 15488

たぶんこれ。

子どものころ、これ持ってて、巻末のモノクロページのアリの飼い方を熟読しまくって、アリを飼おうとした。うまく巣を作ってくれなくて、お母さんにいやがられたのもあって、すぐに庭に捨てたけど。

アリがおもしろくて図鑑を買ってもらったのか、図鑑を買ってもらったからアリに興味を持ったのか。後者だと思っていたけど、よくよく考えたら前者かも。親が好きこのんでアリの図鑑を与えない気がする。

だとしたら、わたしは子どものころからあまり社交的な性格じゃないな。なかったなかった。よく母に、公園へ遊びに行けと追い出されて弟と近所をさまよってた。友達が誘いに来ても、その子のうちに行こうと言われて「遠いから」と断ったりしてた。来てくれたのに。ひどいな。今でもわりとそう。悪気はなくて、出ていくのがちょっと恐いし、怖さをかいくぐるのが疲れる。一人で自分の世界にいるほうが安心でラク。たのしいし。

アリを眺めているのが好きだったんだと思う。アリのことを、もっと知りたいと思ったんだと思う。アリの行列っていつまで見てても飽きないし、まっすぐ歩くためなら仲間の頭踏んじゃったりするし、道がまがりくねってても誰も修正しないし、黒いし、きれいな形をしてるし、巣は穴だし、中がどうなってるか気になるし。おもしろいよなー。

……っていう子どもだったんだな。

高校生までは社交的で明るくほがらかで頭も良くスポーツ万能な人間だった、と思い込んでいたけど、そうでもなかったと、この図鑑を手にして思い出した。

うちは、図鑑というものを与えられなかった。あの頃は本と言えば文学で、それ以外の物は軽んじられていたんじゃないだろうか。いやでも図鑑はあったよな。や、うちにもあったな。わたしが興味なかったんだな。

たった本1冊で、いろいろ思い出すものだなあ。

ワクワク感


やさしいぞ!マメンチサウルス (まんがなぞとき恐竜大行進)
たかし よいち
理論社
売り上げランキング: 624815

書いてる人がワクワクしてるものはおもしろい。

恐竜に興味なくても、まるで自分まで興味あるみたいな気になってくる。そうやって、好きなものが一つ増える。

子どもにこういう本をいっぱい届けられるといいですな。

-

メモ:ワクワク感に関するJAXA阪本先生のすてきなエッセイ
http://www.isas.jaxa.jp/j/mailmaga/backnumber/2011/back329.shtml

小説『勝手にふるえてろ』


勝手にふるえてろ
勝手にふるえてろ
posted with amazlet at 11.04.04
綿矢 りさ
文藝春秋
売り上げランキング: 73453

綿矢りさすごい。大好き。天才。この文章。この確かさと不確かさ。ゆらぎ。リズム。美しさ。素直さ。率直さ。正確さ。確固とした、ありのままそこにあるという、強さ。

以下ネタバレ。

なんでなんでそっちなの。最終的にそっちなの。
朝ドラの『てっぱん』で滝沢くんについていかなかったあかりも分からない。

切実に切望する幻想かもしれない、たぶん幻想であろう人やものと、退屈だけど確かで、自分の足の下にある現実。

わたしはいつも前者に向かって進んでしまう。止められない。未知の理想郷へ向かっていくのはおもしろすぎる。止められない。

確かに足の下にある現実は、すでにある。ここにある。そのありがたさを分かっていても、それを守ることやこれから続けていくことが新しいことで有意義なことと分かっていても、未知には勝てない。

そうやって、わたしは大事な物を失いながら、未知のものを既知にしながら、そしてまた失いながら、生きてきた。

いつまでそうしてるんだろう。でもまだ33だし。

でもでも、今、わたしには、未知への好奇心とは別軸で、きっとずっと大事にしたいものが、自分以外にふたつある。

ひとつはいつでもそばにある。すでにずっとそばにあって、いやになったりどーでもよくなったりしながら、それでもそばにあって、今は大事にしたい、育てたいと思ってる。や、ずっと思ってたけど素直になるとしんどいから斜に構えてたけど、今は素直に思ってる。

もうひとつは、もしそばにあってくれたら、大事にしたいと思うもの。でもわたしにはどうしようもない。そばにあるのかないのか、分からない。今は未知への好奇心でいっぱいで、本当にずっと大事にしたいのかよく分からないけど、この直感は外していないような気がする。ただ、これから先そあばにあってくれるのかどうか分からない。うまくいっても、きっとずっと、分からないまますこし不安を孕んだままのものだろうと思う。それも込みで、大事にしたいと思ってる。

でもふたつめのほうは、それが既知になったとき、新たな未知が現れたときに両立できなくなったら、やっぱり手放してしまうんだろうか。それを守ることや続けていくことが新しいことで有意義なことと分かっていても、未知には勝てないのだろうか。

「でも多分、好きになってしまった時点で、口ではどんなふうに言っても、もう99パーセントくらいは受け容れてしまってるんだろうな、多分」

そうなの。だから困るの。

でも、やっぱり自分の直感は外れていない気がする。

久しぶりの読了。単行本新刊を買ったのも相当久しぶりだったけど。おもしろかった。綿矢りさはすごい。

うだうだエントリ


2009年の1月から2月のブログがおもしろかった。
がんばろっと。

いまわたし自分の人生の上にちゃんと立ってる気がするよ。

うだうだブログエントリするこのノリひさしぶりだが、やはり幸せなひとときであることよ。(仕事からの逃避だけど。)

綿矢りさの『勝手にふるえてろ』を読んでる。

だって好きな人には正直でいたいという気持ちも、ただの欲望の一つだもの。

なるほど。

好きって言わない好きの伝え方もあるんだなって最近思う。そういうのできるのもかっこいいなと。

『ルードウィヒ・B』


ベートーベン大好きで、伝記を一度ちゃんと読みたいと思っていながら読めないでいて、手塚漫画でみつけたので買って読んだ。

手塚先生は天才だなぁ、と感心しながらおもしろがって読み進んでいるうちに、あっというまに2巻が終わってしまった。物語はまだまだこれからであるのに、この作品は未完ということで、つづきはこの世に存在しない。

ひどい。

「ルードウィヒ」という名前をひどく恨む青年が物語を動かしていったり、ベートーヴェンの生意気でチビでもじゃもじゃなキャラが立ちまくっていたり、猫みたいな女の子がいたり、変なジョークが入ったり。天才の紡ぐ物語というのは、なんと滑らかでリズミカルなことでしょう。

のめり込ませといて途中で読者を放りなげるなんて! 

しょうがないので、三島由紀夫の『音楽』を読み始めた。やはり天才の手による物語である。

音楽 (新潮文庫 (み-3-17))
音楽 (新潮文庫 (み-3-17))
posted with amazlet at 10.09.23
三島 由紀夫
新潮社
売り上げランキング: 39881

本棚にしまいこまれてる未読本のうちの1冊。「寝付きになんか読もー」って本棚見たときに、多少未読本にバリエーションがないと、気分に合ったものが見つけられないよね。という言い訳のもと、ときどき衝動買いするものの、やっぱり何年も読んでもらえず寝かされ続けているもののうちの1冊。

わたしの何年か前の衝動、グッジョブ。

ちなみに『ルードウィヒ・B』は数ヶ月の衝動。

本って、「いまこれ読みたい気分!」って衝動で買っても、読み始めるころにはおさまっちゃってるんだよ。アマゾンで翌日あるいは数ヶ月後着なんてのは、いわずもがな。昼間の本屋で買っても、夜まで持たない。本屋は本屋の空気にのせられて、アゲアゲのドバドバで買っちゃうから、帰りの電車くらいですでに熱は冷めちゃってるのだ。せいぜい、帰り道のカフェくらいまでしか持たないのだ。だからやっぱ、多少ストックは必要なのだ。

それに比べ、洋服は、買った翌朝もまだ「着たい!」と思えてることが多い。